醸造家のワイナリー通信

剪定作業を始めました!

今年は久しぶりの寒い冬で、最低気温がマイナス10℃を下回ることも何日かありました。このように寒い日が続くと、凍害によってブドウの樹が枯死したり、病気を引き起こしてしまったりすることが心配されます。
剪定による切り傷がブドウの樹にダメージを与えることを少しでも避けるため、ヴィラデストでは少し寒さが和らぐ、2月上旬頃から剪定作業を開始することが多いです。スタッフには、これから始まるシーズンを元気に乗り切るため、1月中は少しのんびり過ごしてもらっています。

今年の2月は、福島県でワイン製造の講義、ホテルメトロポリタン長野での「NAGANO ワインフェス」、大阪での試飲イベントなど、2年ぶりに出張の予定がいろいろあったのですが、オンライン開催もしくは中止になりました。2年前にコロナが広がり始めたころには、このようにオンラインで講義やイベントが普通にできるとは想像できませんでした。これをきっかけに、この分野は更に進化しそうですが、デジタルで便利になった分、これまで以上にリアルである価値の大切さが求められる時代になるのだろうと考えます。剪定作業をしながらも、この景色の素晴らしさはリアルでないとなかなか伝わらないなと思いました (私の写真では、ですが)。

昨年伸びた枝を切り戻し、昨年の春先の状態にブドウの樹をリセットする剪定作業は、まだまだ始まったばかり。ワイナリーの周りから開始して、田沢地区、千曲川対岸の八重原地区、そして、御堂地区。合計約12ヘクタールすべてを終えるのは、3月中旬頃になりそうです。
剪定作業の合間には、防獣柵の設置や、苗木の接ぎ木作業、シードルのビン詰めなども行いつつ、2022年のシーズン本番に向けて、静寂の中、着実に準備を進めています。


上で少し触れましたが、2月19日(土)「NAGANO ワインフェス」がオンライン開催されます。
私も登場予定です。NAGANOワインを片手に、ぜひご参加ください!!
https://www.nagano-wine.jp/news/event/nagano-wine-fes-in-2022.html
*ワイン付きの有料参加枠は、すでに完売したそうです


今日は朝からずっと雪が降り続いています。

2022年も、よろしくお願いいたします

2022年になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

先日の3連休は、自宅の庭にあるブドウの樹の剪定を行いました (とは言っても10本ほどですが)。
我が家より250mほど高いヴィラデストのブドウ畑では、寒さのピークが過ぎる2月初めごろから開始する予定の剪定作業ですが、個人的には畑作業の中で一番好きな仕事です。
冬の静寂の中で黙々と昨年伸びた枝を切り戻し、今年、そして未来の樹形を形作る作業。20年以上もやっていると、あまり考えなくても体が勝手に動くようになっていますので、心が落ち着くとともに、今年のワインづくりに向けて気持ちが高まるのを感じます。

ヴィラデストワイナリーは、2003年10月に東御市初のワイナリーとして醸造を開始しました。それから19年目となり、来年には20周年を迎えます。この19年の間に、東御市内のワイナリーは12軒まで増えました。
2013年に玉村が『千曲川ワインバレー ~新しい農業への視点(集英社新書)』を書いたのを契機に “千曲川ワインバレー”という言葉も定着し、千曲川沿いに、2003年には5軒程度だったワイナリー数も30軒ほどに急増しました。
ヴィラデストの“兄弟ワイナリー”であるアルカンヴィーニュでは、2015年から「千曲川ワインアカデミー」を開講し、千曲川ワインバレーを中心として日本各地で卒業生が活躍するようになりました。全国のワイナリー数も400を超えたようです。

また近年、日本ワインの表示ルールも整備され、昨年は国から「GI長野(Geographical Indication:地理的表示)」の指定も受けました。昨年は長野、山形、大阪のGI指定があり、これまで指定されていた山梨、北海道を含めると日本ワインの8割以上を量的にはカバーするようになったそうです。
GI認定を受けているワインは、製法や成分など決められた条件をクリアし、さらに官能検査でもその品質が一定以上であると認定されたもの。消費者にとっては、そのワインを安心して手にとることができますし、また、各産地のブランド化にも大きく貢献すると期待されます。特に日本のワインのことを全く知らない海外の人からすれば、日本の産地を理解するうえでの大きな指針になるのではないでしょうか。

このように、ヴィラデストができてからの19年間で、日本ワインを取り巻く状況は大きく、そして良い方向に変わりました。しかし、未だに、日本国内で消費されるワインの中で、日本ワイン(日本国内で栽培されたブドウを100%使用して日本国内で醸造されたワイン)の占める割合は、わずか5%程度だそうで、もっと消費者の認知を高めていく努力が必要だと考えています。
また、海外のワイン先進国ではよく見る、共同のビン詰め設備や製品倉庫、農業機械、そして、苗木のウイルス問題や少ない品種の選択肢など、ワイン産業を支えるインフラ面で解決していくべき問題はたくさんあります。
個々のワイナリーの努力ももちろん必要ですが、全国で400(長野県内で60)を超えたワイナリーが、地域的にそして全国的に、協力して解決していくことの重要性はますます高まってきているのではないでしょうか。

今年の1月、2月は、試飲を含めた多くのイベントが計画されているのですが、直近のコロナ感染者数の急増を受けて、すでに中止が決まったものもあります。出鼻をくじかれた感もありますが、コロナ禍も3年目に入り様々な対処法やノウハウが蓄積されてきていますので、開催されるものも多いだろうと期待しています。
すぐに“アフターコロナ”とはいかない状況ですが、“ウィズコロナ”の中で、しっかりと前を向いて進んでいきたいと考えています!

まずは、大宮で開催される長野県ワイン協会主催のセミナーをご案内します。オンラインでの参加も可能なので、ぜひご検討ください!!

*イベントの情報、お申込みはこちらから

2021年も、あと僅かになりました

10月末に収穫、仕込みがひと段落した後も、防寒のためのブドウの樹への藁巻き、堆肥の施肥、御堂地区の畑での防獣柵の設置など、意外にいそがしい日々が続いています。その間に季節は秋から冬になり、2021年も残すところあと僅かになりました。
この後は、12月中旬のシードルの仕込みが終了すると、ワイナリーチームは剪定作業が始まるまでの間、しばし休息の時期に入ります。
今年は夏の長雨の影響が心配されましたが、収穫期の天候に恵まれたので、品質的にはすばらしいブドウを収穫することができました。2021年ヴィンテージのワインは、大いに期待できそうです。

収穫が終わってからは、久しぶりにいくつかイベントにも参加させていただきました。11月23日には、「GI長野(Geographical Indication:地理的表示)」のお披露目会が長野市で開催されました。私はヴィラデストからのオンライン中継で参加したのですが、イベントの準備に際して、「GI長野」に同時指定された日本酒業界の方々とも知り合うことができました。伝統産業である日本酒業界は、経営者層から若手までが分担して仕事をする体制ができていて、まだまだ若い長野県のワイン業界として見習うべき点が多くあると感じました。これを機にジャンルの垣根を越えて、長野県のお酒を盛り上げていければと思っています。
お披露目会の様子は、「NAGANO WINE オフィシャルサイト」で紹介されていますので、ぜひご覧ください!
https://www.nagano-wine.jp/news/news/2021.html

2021年は、年初から東京を中心に緊急事態宣言が発令され、夏にはデルタ株が猛威をふるい、昨年に引き続きコロナウイルスに翻弄される一年になりました。ただ、その中でも、ワクチンの接種が進んだことや、オンラインを通じたコミュニケーションの普及、感染リスクを低減させながら社会経済活動を継続する取り組みなど、人間の努力と工夫で今後に向けての明るさがしっかりと見えてきたように感じます。

そして、今年もヴィラデストは多くの人たちに支えられてきました。実際に訪れていただいたお客様、インターネットなどを通じて気にかけていただいたお客様、全国の酒販店・料飲店様、ブドウやリンゴを栽培していただいた生産農家様、地元や行政の皆さん。それから、スタッフのみんな。
これから冬本番になりますが、皆さま、お体に気を付けて、楽しいクリスマス、そして新年をお迎えください!
今年もありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします!!

2021年の収穫が無事、終わりました!

10月最終週にカベルネを収穫し、2021年の収穫はすべて終了しました。
今年は、8月のお盆頃から雨が降り続き、ブドウの成熟が心配されましたが、9月に入って秋らしい爽やかな晴天が続いたことから、糖度が急上昇し、さらに酸味も保持された、高品質で健全なブドウを収穫することができました。ワイナリー内では、まだ発酵中のタンクもありますが、大部分は発酵を終えて熟成の期間に入りました。
2021年ヴィンテージのワインは大いに期待できそうです。

収穫、仕込みは終わりましたが、スタッフはのんびりする暇もなく、本格的な冬が来る前に防寒のためのブドウの幹への藁巻き、堆肥の施肥、雨よけビニールや電気柵の片付けなどにいそしんでいます。
でも、無事に収穫が終わって、とにかくホッとしました。この数日で一気に紅葉が進みましたが、しばらく景色を見る余裕もない生活を送っていただけに、この美しい風景には癒されます。

ワクチン接種の拡大もあり、このところのコロナウイルスの新規感染者数は落ち着き、社会も動きつつあります。着実に、平穏な日々を取り戻し、親しい仲間と心置きなくワインが楽しめるようになることを祈るばかりです。
2020年の2月末ぐらいから、ほとんどのリアルイベントが中止になってきましたが、慎重に対策を施した上で、リアルイベントも徐々に再開されるようになってきました。ヴィラデストとしても、少しずつ参加を始めています。

11月23日には、こちらはオンラインが主になりますが、「GI長野(地理的表示)」指定のお披露目イベントが開催されます(主催:関東信越国税局)。長野市のメイン会場と4ワイナリー、4日本酒蔵をオンラインでつなぎ、ヴィラデストからの中継もあります。
メイン会場では、GI長野についてのパネルディスカッションもあり、GI長野を楽しく理解していただけるイベントになると思います。これを機会に、長野ワインのブランド化をより一層進めていきたいと考えます。
一般の方はオンラインでの参加ですが、事前の申込みが必要となります(無料、500名まで)。興味のある方は、ぜひご覧ください!

https://twitter.com/NaganoSake369/status/1456487902184050690/photo/1

収穫、仕込みの最盛期を迎えています!

前回の通信では、「ここから収穫終了までのあと約1か月半の間、昼夜の寒暖差の大きい、カラっと晴れた天気が続いてくれることを祈るばかりです。きっと、2021年もよい収穫が迎えられるでしょう」と、希望的観測で書いていましたが、まさに9月10日あたりから、晴天で昼夜の寒暖差が大きい秋晴れが続いていることから、ブドウの糖度はぐんぐん上昇し、非常によい状態で収穫が進んでいます。

 

病気が少なく、収穫に手間がかからないことや、天候がよいことから、収穫や仕込み作業も順調で、残すところワイナリー周辺のシャルドネとメルローとなりました。これらは、ヴィラデストのフラッグシップワインである「ヴィニュロンズリザーブ シャルドネ」や「ヴィニュロンズリザーブ メルロー」、「タザワメルロー」になるブドウですが、直近1か月の好天の恩恵を受けてすばらしい状態で熟しつつあります。

夏の長雨に耐え、そして最終的には収穫前に好天に恵まれ、その恩恵を受けられたこと。ずっと頑張って、畑を管理してくれたスタッフの努力の結果です。

 

2021年は、昨年に引き続きコロナウイルスに翻弄され、一方では東京オリンピック・パラリンピックが開催されるなど、記憶に残る年になりそうです。10月末頃まではいそがしい日々が続きますが、ブドウの力を充分に抽き出し、記憶に残るワインができるよう、ブドウ畑で、醸造所で、がんばります!
2021年ヴィンテージ、ご期待ください!!

収穫が近づいてきました

いよいよ、9月後半から始まる収穫が近づいてきました。ワイナリーの中では、仕込みに備えて掃除をしたり、機械の整備をしたりしています。ブドウ畑では、最後の仕上げの草刈りや、防獣用のネットや電気柵の設置などを進めており、無事にブドウが成熟するのを待つばかりになってきました。

 

今年は暖冬だったのですが、春は低温で、芽吹きはほぼ例年通りになりました。その後、一部の畑ではシカに新芽を食べられるなどの被害がありましたが、梅雨が短かったこともあり、7月から8月上旬にかけては晴れが多くなり、病気の発生も少なく、ブドウは順調に生育しました。ところが、お盆のころから長雨が続き、低温や日照不足で、少し心配な状況になってきました。

シーズンの最初から最後まで順調ということは、ブドウ栽培ではまずありません。特に、湿潤な日本の気候の中で、もともと乾燥した環境を好むブドウを栽培し、ワインをつくることは簡単なことではありません。しかし、この気候が、日本ワインの繊細で優しい味わいに繋がっていることも確かです。自然と共存しつつ、できる対策はしっかりしたうえで、適期に適切な栽培管理をおこなっていく。当たり前のことを愚直におこなっていくしかないのかなと思っています。

 

昨日は久しぶりに秋晴れになりました(今日はまた雨が降りましたが、明日は晴れそうです)。
幸い、スタッフの努力もあり、長雨に耐えてブドウはほぼ健全な状態。
ここから収穫終了までのあと約1か月半の間、昼夜の寒暖差の大きい、カラっと晴れた天気が続いてくれることを祈るばかりです。
きっと、2021年もよい収穫が迎えられるでしょう!!

暑い日が続きます

東京2020オリンピックが閉幕しました。コロナ禍の中、開催には関係者の様々な苦労があったかと思いますが、アスリートの皆さんの活躍を連日自宅のテレビでワインを飲みながら(ビールもですが)観戦し、勇気と感動をいただきました。日本としては、史上最高の金メダル数でもありました。素直に喜びたいです。

今年は梅雨が約1か月と短く、梅雨明けしてからは夕立や一時的な雷雨があるものの、暑くてカラっとした天気が続いています。ワインブドウにとっては「べと病」などの病気の発生が抑えられる気象条件となっており、生育も順調に進んでいます。
ただ、収穫期が近くなれば、果皮の薄いピノ・ノワールなどは雨が降ると実が割れやすくなりますし、病気も発生しやすくなります。また、果実の糖度が上がってくれば、ハクビシンやタヌキ、鳥などの被害とも戦わなければなりません。
9月中旬から始まる収穫まで、まだまだ気は抜けませんが、オリンピックイヤーとなった2021年が素晴らしいヴィンテージになることを期待して、作業にあたりたいと思います。

 

先日、今年で定植から3年目となる御堂地区の畑の土壌調査を、長野県の専門職員の方が実施してくれました。新たに造成した畑なので、表土が薄く土壌中の有機物の量も少ないため、生育は遅めですが、毎年、堆肥を補って土壌改良をおこなってきました。3年目のブドウの樹は今年、一気に伸びましたので、来年は少しですが初収穫が望めそうです。御堂地区の畑の土壌は、ヴィラデストの丘の上とよく似た粘土質土壌ですので、ブドウの収量は多くはないものの、その分、凝縮感のある余韻の長いワインになるのではと考えています。

 

最近、「スマート農業」という言葉が盛んに使われるようになってきています。農業分野における作業の機械化や自動化、または、ICT技術を利用して農作物の生育を予測したり、より高精度に管理したりすることで作業負担の低減や省力化、生産物の品質向上を可能にする農業を指す言葉です。日本の農業従事者の高年齢化や、農業人口の減少を考えると避けては通れない分野だと考えています。
ヴィラデストワイナリーとしては、数年前から農機具メーカーのヤンマーさんによる、トラクターに取り付ける摘芯アタッチメントの開発に協力をしてきました。そして昨年、市販された第一号機を導入したのですが、作業のスピードは人の数倍、しかも快適に作業をすることができます。他の作業用にもアタッチメントが開発され、更に便利になることを期待しています。
また、今年は様々な会社の、リモコン草刈り機、自動農薬散布機、自動草刈り機など、いろいろな機械の実演を見せていただきました。農地は一般の道路と違い、凹凸があったり、石があったり、ぬかるみがあったりと状況の予測が難しい場面が多いので、まだまだ改良の余地があるというのが感想ですが、技術の進歩は非常に速いですから、近い将来にはこのような機械が活躍するようになるのでしょう。

 

例年であれば、8月から9月初旬は「ワイン&シードルガーデン in 長野」や「東御ワインフェスタ」など、収穫前のイベントが開催される時期です。今年も開催の可能性を探っていたのですが、昨今の状況から考えて中止となりました。ただ、関係者と協力して、消費者との接点が持てるような機会を、オンラインでの開催が中心になりますが検討しています。内容など決まりましたら、あらためてお知らせしますので、ぜひご期待ください!

先日、私も2回目のワクチン接種を終えました。今のペースでいけば、10月上旬には若い世代も含め、日本の人口の約7割が2回の接種を受けることになるそうです。
まだまだ、気の抜けない日々が続きますが、収穫の頃には事態が好転していることを望むばかりです。

もうすぐ夏本番です!

今年の梅雨は、毎日のように雨が降りました。栽培醸造スタッフは、ブドウに病気を発生させないように、雨の合間を縫うようにして消毒をおこない、また、勢いよく伸びる枝葉の誘引や雑草の除草に、例年以上に体力や気をつかう日々が続いています。その甲斐あって、ブドウは今のところ大きな問題はなく順調に生育しています。6月下旬に開花した後、結実した果粒は日に日に大きくなりつつあります。そろそろこの地域も梅雨明けしそうとのことですから、これからは、よい天気が続くことを期待したいです。

私の方では、この1か月、引き続きオンラインでのイベントに参加する機会をいただいたり、また、久しぶりになりますが、リアルでお客様と会話しながらのイベントに参加させていただいたりする機会もありました (もちろん、感染症対策は万全におこなわれていました)。

実際に直接お話をしながら、お客様の反応や感想を聞きながらのイベントは、やはり楽しいものです。一方、オンラインの場合は、事前に準備した資料や映像などをつかって、リアルイベントとは違った側面での理解や交流が可能ですし、何と言っても場所を選ばず手軽に参加できます。コロナ禍のなかで、イベントの方法が多様化し、進化しましたが、“ポストコロナ”時代になっても、これは続いていくのだと思います。

▲ 6月にリアルイベントが開催された「白馬リゾートホテル ラ ネージュ東館」

また、今年5月の『ワイナリー通信』でもふれましたが630日に「GI長野(Geographical Indication:地理的表示)が国税庁の指定を受け、また、76日の審査会において、ヴィラデストから出品した6品を含む、41品のワインが初の「GI長野プレミアム」として認定を受けました。

https://www.pref.nagano.lg.jp/jizake/happyou/20210707press.html

長野県が高い品質のワイン産地であることを、国内だけでなく海外に向けてもアピールしていく、このよい機会を、今回、同時にGI指定された県内日本酒業界の皆さんとも協力して活かしていきたいものです。

まだまだ気を抜けない生活は続いていますが、一方では高齢者へのワクチン接種が進み、私たち世代にもワクチン接種の順番が回ってきました。今年中には状況も徐々に改善していくことでしょう。

もうすぐ始まる、東京オリンピック・パラリンピック。選手の皆さんの活躍を、ワインを楽しみながら、テレビで観戦して元気をもらいましょう!

ブドウの新梢が勢いよく伸びています!

昨日614日、関東甲信が梅雨入りしたとみられると発表されました。しかし、東海以西の梅雨入りが発表された516日頃から、このあたりもぐずついた天気が多かったのが実際のところです。この時期は、とにかくブドウの新梢の伸びが旺盛で、雑草も勢いよく伸びますので、畑仕事がなかなか追いつかない時期でもあります。ですが、若いスタッフたちがガンガン畑で頑張ってくれていますので、とても頼もしい限りです!

 

一方、今年は例年になくシカによる被害がでています。せっかく出た新梢がシカに食べられてしまい、このありさま。電気柵を設置したり、シカが嫌うらしい唐辛子の粉をまいてみたり、近くに住む元スタッフに頼んで“わな”を設置してもらったりして、ここ1週間ほどはシカも姿を現していないようです。あらたな新梢が出てきていますが、どこまでリカバーできるか、心配なところです。

また、昨日は夜中に雷が鳴って急に雨が降り出し、雹が降らないか心配になりしばらく外を眺めていました。なかなか思い通りにはなりませんが、自然とうまく折り合いをつけながら、今年もいいブドウを収穫できるように努力するのみです。

 

昨年と一昨年に植え付けをした御堂地区の畑も順調に生育しています。本格的な初収穫は来年になりますが、今年もごく僅かですが、実がつきそうです。御堂地区の畑からはヴィラデストワイナリー周辺とはまた違った角度からの雄大な景色が楽しめ、天気が良いと富士山もみえます。数年後には見渡す限りの広大なブドウ畑が広がる、新たな観光スポットになるでしょう。

 

あと10日もすれば、ブドウが開花します。今年の開花時期は、ほぼ例年並みの時期になりそうです。一般的に、ブドウは開花してから収穫までがおよそ100日と言われますが、これから100日後、世の中の状況が改善し、楽しい収穫が迎えられることを期待しながら、ブドウ栽培の最盛期を乗り切っていきます!!

▲ 「ヴィニュロン会員2020」会員畑の様子

ブドウの新梢が伸びてきました!

ブドウ畑では、今年も新たに芽吹いた若葉が伸び始めてきました。これから暖かくなるにつれて、新梢の伸びは一気に加速し、畑仕事もそれにつれて忙しくなってきます。これからの時期は、急な天候の変化や梅雨の長雨など、いろいろと心配なことはありますが、その時々で早め早めに適切な対策をとることを心掛けつつ、スタッフ一同頑張ります!(言うは易しで、実際に行うのが難しいのですが..)

▲「ヴィニュロン会員2020」会員の畑

 

話は変わって、私もメンバーとして関わっている、長野県原産地呼称管理委員会や長野県ワイン協会では、「GI長野(Geographical Indication ; 地理的表示)」の指定に向けた準備をしています。すでに、ワイン(ぶどう酒)では「GI山梨」と「GI北海道」が指定されています。少し遅れを取りましたが、長野県は日本ワインの生産量第2位の県ですから、早期の指定が待たれるところです。
*酒類の地理的表示マップ(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/hyoji/chiri/map.htm

長野県では、2003年から全国に先駆けて「長野県原産地呼称管理制度(会長:玉村豊男)」を県の制度として続けてきました。今回は、現行の制度を発展的に国のGI制度に移行しようというものです。まずは書類審査で認定基準を満たしていることを確認し、続いて官能審査で品質的にも一定の基準に達しているワインのみを認定するのは、これまでと同じ流れです。
*長野県原産地呼称管理制度(長野県)
https://www.pref.nagano.lg.jp/jizake/sangyo/brand/nac/sedo.html

ところで、GIについては、世間の認知度が高いとはとても言えず、ワイン業界の人でもなかなか理解していないのが実情です。
国税庁のWEBサイト(https://www.nta.go.jp/taxes/sake/hyoji/mokuji.htm)には、以下のようにあります。

「酒類の地理的表示制度とは、地域の共有財産である『産地名』の適切な使用を促進する制度です。お酒にその産地ならではの特性が確立されており、産地からの申立てに基づき、国税庁長官の指定を受けることで産地名を独占的に名乗ることができます。
 産地にとっては、地域ブランド確立による『他の製品との差別化』、消費者にとっては、一定の品質が確保されていることによる『信頼性の向上』という効果があります。」

長野県のワイナリーは小規模なワイナリーが多く、ワインの商品名も個性的なものが多く、商品名に「長野〇〇」を使用しているところはあまり見かけませんので、「長野」という名称が保護されることに対するメリットを感じにくい状況かと思います。
しかし、GIに指定されれば、日本国内に加えて海外でも「長野ワイン」という名称が保護されることになるだけでなく、「長野ワイン」を名乗るワインは一定以上の品質が保証されることから、国内外を問わず、「長野ワイン」のブランド力向上に向けた取り組みをしていくうえで、大きなメリットがあるはずです。

▲リンゴの花。ヴィラデストの近所でリンゴを栽培している農家さんの畑。
 この畑のリンゴは「ヴィラデスト シードル」の原料にもなっています。

 

コロナ禍になって1年が経過しましたが、私の生活で一番変化したのは、オンラインでの会議やイベントが増えたことです。この1年間で多くの人がオンラインミーティングに慣れてきましたし、オンラインミーティングやオンラインイベントは、世界中、場所を選びません。
今後、「GI長野」が指定されれば、様々なアピールの機会が設けられることになると思います。せっかくこのようなタイミングですから、日本国内だけではなく、世界を意識したアピールが必要ですし、関係者の皆さんと協力して進めていきたいと考えています!!