2023年ヴィンテージワインの樽熟成を開始しました
10月末にブドウの収穫が終了しましたが、その後もワイナリーの中では、赤ワインの“かもし発酵”やプレス作業が続いていました。
赤ワインは果皮を果汁に漬け込みながら発酵(=かもし発酵)し、その間にアントシアニンなどの色素や渋みのもとになるタンニン分を抽出するわけですが、お茶や紅茶を淹れるときと同様、ほどよい抽出が大事で、“かもし”をどれくらいの日数行うのか、1日に何回攪拌するのかなどの、ワインメーカーの判断が重要になります。
また、“かもし発酵”をする際に、ブドウをどれくらいつぶすかにも気を遣っています。
ブドウを完全に破砕すると、発酵は短期間で終了しますが、味わいが単調になるように感じていて、完全につぶすのではなく中程度にブドウをつぶしたり、半分は破砕するが残りは全く破砕しなかったり、「ヴィラデスト ピノ・ノワール」であれば一部は房ごと“かもし発酵”をしたりなど、いろいろなつぶし加減のブドウ粒が混在するような状況で発酵することにより、ワインの味わいに複雑さや奥行きが加わればよいとイメージしています。
“かもし発酵”は2週間から3週間程度で終了し、その後、果皮やワインが一緒になっている“もろみ”をプレス(=圧搾)して、若いワインが得られます。その際にプレス機で圧搾する圧力も重要で、強すぎると渋いワインになりますし、弱すぎても物足りないワインになります。
11月中旬に最後に残っていたカベルネのプレスを終えて、2023年ヴィンテージのワインはすべて樽やタンクにおさまり、白ワインは来年の春、赤ワインは来年の秋、長いものでは再来年の春までゆっくりと熟成していきます。2023年は雨が少なく暑い年だったので、その気候を反映した濃縮感のあるワインが期待できそうです。
11月は「ヴィラデスト ワイナリー祭り」や東京でのイベント、軽井沢でのワインメーカーズディナーなど、いろいろな場所でお客様と交流し、今年のヴィンテージについて報告させていただく機会が多くありました。
さらに、12月13日には、東京・大手町にて、CruX社主催の「『日本ワインを知る・千曲川ワインバレーの歩み!』~ヴィラデスト20周年&アルカンヴィーニュpre10周年特別試飲会~」が開催されます。
ヴィラデストのワインが勢揃いするだけでなく、“兄弟ワイナリー”のアルカンヴィーニュや「千曲川ワインアカデミー」の卒業生も参加する、またとない機会です。
当日は、小西も東京に参ります。チケットはまだ若干の余裕があるようですので、ぜひ参加をご検討ください!
2023年の収穫が終了しました!
10月25日のカベルネを最後に、2023年の収穫が終了しました。
今年は猛暑で少雨の夏でした。秋も雨が少なく、今のところ台風の影響もほとんどありません。9月15日に収穫を開始した時はまだ夏のようでしたが、9月の後半から朝晩の気温がぐっと下がり、昼夜の寒暖差の大きい、とてもよい条件で収穫を進めることができました。
暑い気候の影響を受けて、例年と比べるとブドウの糖度が高く、酸は穏やかではありますが、濃厚で熟したフルーツのニュアンスを感じるワインになるのではと考えています。
標高の高いヴィラデストのメルローやカベルネは、涼しい年だと少しブドウの熟度が足りないと感じることもありますが、今年は過去にないほど熟度が高く、そのブドウからできるワインが楽しみです。
今年はコロナ明けということもあり、延べ50名以上と、多くのボランティアの方に収穫を助けていただきました。皆さん、本当にありがとうございました!
収穫はひと段落ですが、ワイナリーではステンレスタンクやオークタンク、オークバレル(小樽)の中で発酵が順調に進んでいます。ここのところ朝晩冷え込むようになりました。一部のステンレスタンクには冷却設備もあり、温度コントロールができますが、木製の樽などは室温での発酵になります。
ヴィラデストでは、収穫の最盛期には気温が下がり、自然の室温であってもちょうどよい発酵温度で管理ができることが多く、ブドウ栽培だけでなく、醸造面でも優れた“テロワール(風土)”なのだと感じています。
ヴィラデストでは、赤ワインの搾りかすを原料として、蒸留酒(商品名:「ヴィナッチャ」。イタリアでは“グラッパ”と呼ばれるブランデーの一種)をつくっています。赤ワインは果皮や種を漬け込んで発酵をし、発酵が終了すると搾って果皮とワインを分離します。その分離した果皮に熱を加えてつくるのが「ヴィナッチャ」です。
日本ではほとんど製造されていないこともあり、私自身、2007年にイタリア・ピエモンテの名門「ベルタ蒸留所」で研修をさせていただき、蒸留器の構造や蒸留のノウハウを学んできました。
赤ワインを搾って、すぐにヴィナッチャの蒸留にとりかかると、ワイナリーには甘い干しブドウのような香りが漂います。
11月18日には東京でのイベントに参加させていただきます。
ベルサール六本木での「ヴァン・ジャポネ・フェス」と、東京ミッドタウン八重洲での「信州のIPPON!~長野の日本酒&ワインと出会う1日~」が同日開催。
皆様にお会いできることを楽しみにしています。ぜひ、ご参加ください!!
ブドウの収穫が始まりました!
今年は、私のヴィラデストでの20年余りの経験の中で最も早い、9月15日の自社畑での収穫開始です。
7月22日に梅雨明けしてから、史上最高と言われる高温が続き、雨の非常に少ない天候が続いています。ヴィラデストの圃場に設置した気象ポストでも、梅雨明けからのおよそ2か月間の降水量は200mmを切っています。この雨もほとんどが激しい夕立でしたので、雨の降っている時間はかなり短い印象です。
昨年2022年は、お盆明けから雨が降り続き、日照が極端に少なかったのと比べると対照的です。昨年はなかなか糖度が上がらずに苦しみましたが、今年はブドウの糖度は順調に上がっています。ただ、酸度は反比例して下がっていきますので、ペース良く収穫していく必要があります。2023年ヴィンテージは、平年のヴィラデストの冷涼な気候を感じさせる味わいとは異なり、しっかりと熟した果実味を感じるワインになりそうです。
まずは、ピノ・ノワール、そして、ソーヴィニョンブラン、ピノ・グリ、シャルドネ、メルロー、カベルネと10月中旬頃まで収穫・仕込みが続きます。しばらくはまた気の抜けない日々が続きますが、ブドウのポテンシャルをしっかりと抽き出し、この年の特徴を映し出すワインを目出して頑張ります!!
ヴェレゾンが始まりました!
7月22日に梅雨明けしてから、非常に雨の少ない高温な天候が続いています。
ブドウのヴェレゾン(果実の軟化、着色)は例年より少し早めのお盆前から始まりました。ヴェレゾンを境として、枝葉の成長から果実の成熟へとエネルギーの流れが転換します。例年だと収穫開始まではあと40日程度だと予想されますが、気象庁のホームページで調べてみると、東御市の直近1か月の平均気温は例年より1.5℃高いとのことで、早い収穫になるでしょうか。
いずれにせよ、これからの天候で2023年ヴィンテージのワインの出来が大きく左右されます。9月の天候が良いことを祈ります。
毎年のように今年は暑いと言っていますが、長い目で見ると新たな品種への取り組みも必要だと考えています。
ヴィラデストでは、日本ワインブドウ栽培協会(JVA)と協力していくつかの品種の試験栽培をしているのですが、長野県の場合は温暖化といっても数年に一度は-10℃以下が続くような寒い年がありますので、夏の高温や多雨化への対応と同時に、冬の寒さに耐えられるかという点も検証しながら有望な品種を探していきたいと思います。
今、温暖化に対応できると注目の、アルバリーニョやプティマンサンは、ヴィラデストでも20年近く前にそれぞれ10本ずつ植えましたが、耐寒性がないのか10年位ですべて枯れてしまいました。
9月中旬頃からブドウの収穫が始まると、連日の作業で全く余裕がなくなりますが、それまでの間には、いくつかイベントが開催されます。
8月26日には「ワイン&シードルガーデン in 長野」が長野駅東口公園にて長野県ワイン協会主催で開催されます。ワイン、シードルは27社が出店。150銘柄ほどが勢揃いする予定です。
長野市近郊の飲食店や、県産のクラフトビール、日本酒なども20ブースが出店し、ステージではコンサートも開催予定で、盛りだくさんに楽しんでいただけるイベントになりそうです。
また、9月2日には「東御ワインフェスタ」が、しなの鉄道「田中駅」近くの「JA信州うえだ ラ・ヴエリテ」屋外特設会場にて開催されます。従来の会場で開催されるのは4年ぶりです。
当初は東御市内に3軒だったワイナリーも今は13軒となり、東御ワインの多様性を楽しんでいただけるはずです。
私もブースでお待ちしていますので、ぜひ、お出かけください!
ブドウが結実しました
ブドウ畑では、ほぼ例年通りの6月中旬に開花し、結実した小さな実が日に日に大きくなりつつあります。今年は今のところ、雹などの被害もなく、順調に生育していますが、梅雨末期の大雨や天気の急変など、まだまだ気は抜けません。
いずれにせよ、今年のブドウの出来を左右する大事な時期が、これから収穫までのおよそ100日間。
無事によい収穫を迎えられることを祈りつつ、日々の畑作業を地道に進めていきます。
今の時期は新梢の伸びが一番旺盛な時期で、風通しや日当たりをよくするために新梢を真っ直ぐ立てる誘引作業を進めています。
誘引作業がひと段落すると、垣根の上部や側面を刈りそろえる、摘芯を行います。この摘芯は、以前はすべて手作業でやっていましたが、数年前からトラクターの摘芯アタッチメントを導入しましたので、ずいぶん時間と労力が削減できるようになりました。
機械の力も借りながら、手をかけるべきところはしっかりと手をかける。広い畑を管理する上で、このメリハリが重要なことだと考えています。
6月23日には、ヴィラデストワイナリーのワインを各地で販売していただいている酒販店の皆様をワイナリーにご招待し、「ヴィラデストワイナリー20周年記念試飲会」を開催しました。今回は17種類のワインを用意し、ワインの解説とともに、全種類テイスティングをしていただきました。
引き続き、ヴィラデストのワインの魅力を各地のお客様に伝えていただければ幸いです!
今年は特に酒販店様や飲食店様向けの試飲会が各地で多く開催されており、私も東京・大阪・長野市などでブースに立たせていただく機会がありました。
この3年間はこのような出会いの場が限られていただけに、私たちにとっても貴重な機会ですし、参加者の皆さんの真剣度合いも高いように感じます。
これから、日本ワインが一段と元気になるためにも、様々な立場の方と連携できれば嬉しいです!
梅雨明けまではもう少しですが、梅雨の晴れ間は気温も上がり、いよいよヴィラデストにも夏がやってきました!!
新梢が勢いよく伸びてきました
今年は春先に暖かい日が続いたので、例年より少し早い萌芽でした。しかし、その後、肌寒い日が続いたり、一転して夏のように暑くなったり、気温のアップダウンの激しい天候が続き、新梢の成長はほぼ例年並みの成長具合になってきました。これからしばらくは旺盛に伸びる新梢の誘引や、雑草の草刈りに追われる季節になります。新梢の誘引では、新梢を真っ直ぐに立てることにより、風通しや日当たりを改善して病気を防ぎ、光合成を促します。
畑仕事の合間を縫って、2022年ヴィンテージワインのビン詰めも順調に進んでいます。しばらく売切れ状態が続いていた「ヴィニュロンズリザーブ シャルドネ」も、2022年ヴィンテージが 6月9日(金) にリリースになります。
2022年は暑い夏でした。9月の雨で結果的に例年と同じぐらいの収穫時期になりましたが、豊作で、特に白ワインの香りが華やかなヴィンテージになりました!
先月、5月27日・28日はイベントが目白押しの週末でした。しなの鉄道の田中駅、小諸駅、坂城駅の各駅前と、シャトー・メルシャン椀子ワイナリーを会場として「千曲川ワインゴーランド」が開催されました。遊園地のメリーゴーランドで遊ぶように、ワインとブドウ畑と作り手を訪ねながらワインバレーを回遊する “ワインゴーランド”。私は田中駅前の会場で出展していましたが、それぞれのイベントをお客様にお楽しみいただけたと思います。
そして、同じ週末に岩手県・花巻市で開催された「日本ワインフェスティバル花巻大迫2023」にはヴィラデストワイナリー営業担当の青島が遠征出展。2日間で3000人を超える来場があったそうですが、東北地方の皆さんにヴィラデストを知っていただくよい機会になったようです。
さらに、27日の夕方から夜にかけては、ヴィラデストカフェにてワインパーティー「信州の山の魚」を開催。信州の山々に育まれた魚を使った、村山シェフが腕によりをかけた渾身の料理と、ヴィラデストのワインをあわせてお楽しみいただきました。今年は、ここ数年の間我慢していた分、イベントが盛りだくさんです!
6月に入り、ますます畑がいそがしくなってきますが、新人2名が加わってパワーアップしたヴィラデストワイナリーチーム。
今年もよいヴィンテージになるよう、力を合わせてがんばります!!
もうすぐ萌芽です!
今年は暖かい春で、ブドウの萌芽は例年より少し早めの、ゴールデンウィークの前あたりになりそうです。ただ、暖かいと言っても朝晩はまだ冷えますし、時には0℃近くになることもあります。あまり早く芽が出ると遅霜による被害のリスクも高まります。
また、数年前には出たばかりの芽をシカに食べられてしまうという被害もありました。自然相手の仕事なので、思うようにはなりませんが、できるだけの対策をして、うまく自然と折り合いをつけていかねばなりません。
芽が出る前には、結果母枝の誘引や石灰硫黄合剤の散布を行うのですが、その間にワイナリーでは2021年の赤ワインや2022年の白ワインをビン詰めしています。
2021年は夏が涼しくブドウの熟期が遅れましたが、9月中旬以降の天気が良かったので、特に10月以降の収穫になる赤ワインにとって良いヴィンテージになりました。
一方、2022年は暑い夏でした。9月の雨で結果的に例年と同じぐらいの収穫時期になりましたが、豊作で、アロマティック系品種の白ワインの香りが華やかなヴィンテージになりました。新ヴィンテージのワインは今年の夏頃から順次発売となりますので、ご期待ください!
2003年の秋に初醸造をしたヴィラデストワイナリーは、今年創業20周年を迎えます。20周年を記念して、樹齢20年以上の古樹(ヴィエイユ・ヴィーニュ、V.V. )のみを使用して醸した「ヴィニュロンズリザーブ シャルドネ V.V. 2021」がワイナリーショップ、オンラインショップ限定で販売中です。
https://villadest.shop-pro.jp/?pid=173466621
写真はヴィラデスト最古(ワイン専用品種としては東御市内でも最古)のブドウの樹で、31年前、1992年に玉村が植えました。それぞれの樹の姿に個性と風格と歴史を感じます!
春がやってきました
“三寒四温”といいますが、暖かくなったり、寒くなったりしながら、ヴィラデストにも春がやってきました。
ブドウ畑では、剪定作業がほぼ終了しましたが、まだ大量の剪定枝の処分が残っています。それが終わったら、剪定作業で残した「結果母枝(けっかぼし)」の誘引作業を4月中旬頃までに行います。
ワイナリーでは、2021年ヴィンテージの赤ワイン、2022年ヴィンテージの白ワインを樽から出して、ビン詰めをするなど、少しのんびりしていた冬が終わり、急に慌ただしくなってきました。
2月に引き続き、3月もイベントへの出席などのため、東京出張が続きました。
3月25日には、羽田イノベーションシティの特設野外会場で開催された「和韻フライト2023 ~日本ワイン・ロックカーニバル~」に出展。多くのお客様とお話をしながらワインを楽しんでいただき、また、全国から参加のワイン生産者とも久しぶりに会うこともできました。「ロックカーニバル」と銘打っているだけに、迫力あるバンド生演奏もあり、大いに盛り上がりました!
今年、ヴィラデストワイナリーは創業20周年を迎えます。ボランティアの方々にお手伝いいただきながら苗木を植えたことを、つい最近のように思い出しますが、その時に植えたブドウの樹は立派に生長し、すでに風格を漂わせる姿になりました。畑の面積も約12ヘクタールまで拡がりました。
20年間やってくることができたのも、いつも応援してくださるお客様、地域の皆様、そして、日々がんばって汗をかいてくれている歴代スタッフのお陰です。
これまで培った蓄積を大事にしつつ、更に魅力的なヴィラデストへ進化を続けていきたいと思います。
冬の間、カフェやショップは改装工事をしていましたが、外壁を残して工事は終了し、4月1日より、リニューアルした新たな装いでオープンします。
皆さんと、ヴィラデストでお会いできることを楽しみにしています。
ぜひ、お出かけください!
春が近づいてきました!
ブドウ畑では、剪定作業が着々と進んでいます。畑は全体で約12ヘクタールありますので、作業は2か月近くかかります。昨年に伸びた枝を切り戻し、樹形を整えつつリセットし、今年の生育に備える作業。春近しと言っても、まだまだ寒い長野ですが、2023年のワインづくり(ブドウ栽培)はすでに始まっています。
2023年がよいヴィンテージになることを祈るばかりです。
2月は各地でワインの試飲ができるイベントが活発に開催されました。
2月11日には、ホテルメトロポリタン長野において、「GI長野ワインフェス2023」が開催されました。3年ぶりの“リアル”での開催となり、多くのお客様にご来場いただき、大いに盛り上がりました。造り手とお客様が会話をしながら、多様な“長野ワイン”を楽しんでいただける素晴らしい機会になったと思います。
また、2月17日は、京王プラザホテル札幌で開催された「2023プラザワインヘリテージ vol.8」に参加させていただきました。
北海道の約30のワイン生産者とチーズ生産者が一堂に会するイベントですが、今回は本州からワインはヴィラデストワイナリー、チーズは岡山県の吉田牧場さんが特別参加。多くの北海道のワインの中で、ヴィラデストのワインも提供させていただき、“テロワール(風土)” の違いを感じていただけたのではないかと思います。
北海道の旧知の生産者、そして新しい生産者とも交流させていただき、私自身も楽しませていただきました。
さらに、今週末2月25日には、2022年9月から延期になっていた「東御ワインフェスタ2022」が開催されます。やはり、ワインを飲みながら、ワイワイガヤガヤと楽しむのが一番ですね。こちらも、長い冬を越えて、春が近づいてきたようです!
遅ればせながら、今年もよろしくお願いします!
今年のお正月は雪が少し降った程度で、穏やかな新年を迎えています。
この3年間は、新型コロナウイルスの感染拡大によって、ワイナリー業界、飲食業界は大きな影響を受けました。しかし、そのような状況の中で、オンラインを利用したイベントの開催や、動画やSNSを活用した情報発信、新しい販路の開拓や業務の見直しなど、困難な状況だからこそ、新たに取り組めたことも多かったと思います。
今年は新型コロナウイルスとの「共生」が本格的になり、経済活動は徐々に“コロナ前”に戻っていくものと思われますが、この間に学んだことを活かして、より進化したヴィラデストにしていきたいと考えています。
そして、今年はヴィラデストワイナリーが20周年を迎えます。少し年季を感じるようになった建物の改修を冬の間に進め、ショップやカフェは4月1日からリニューアルオープンの予定です。
20周年を記念したワインもいろいろ準備していますので、ご期待いただければ幸いです!
ヴィラデストワイナリーが20年前に開業した時には、東御市にワイナリーはヴィラデストのみ。ワイン用ブドウ畑も合計で1ヘクタールに満たないほどだったと思います (玉村が1992年に植えたのが最初です)。それが、今では東御市内にワイナリーが13場、ワイン用ブドウ畑は60ヘクタール以上になりました。
長野県全体で20以下だったワイナリー数も、昨年には70を超えましたし、日本全体では200以下だったワイナリー数は400を超えるまでになりました。
私たちも、現在では畑を約12 ヘクタールまで拡大し、また、“兄弟ワイナリー” のアルカンヴィーニュを設立して、2015年からは「千曲川ワインアカデミー」を開催するなど、千曲川ワインバレーや日本ワインの活性化に多少ながらも貢献することができたのではと感じています。
この20年間、特に直近の10年間で日本ワインの品質や認知度は大きく進化し、イメージもよい方向に変わってきたと思います。
また、この20年間で日本の物価はほとんど上がらず、円安も進行しましたので、海外のワインとの価格差は縮小しています。日本ワインの品質向上とあわせて、日本ワインの競争力は高まっていると言えるのではないでしょうか。また、海外から重たい瓶に入ったワインを輸入するより、日本で日本のワインを楽しむ方が、CO2排出量削減など、SDGsの観点からも良いように思います。
さらに、GI(Geographical Indication:地理的表示)制度も日本ワインの大半をカバーするようになり、今後、国内だけでなく海外に向けても、日本ワインをアピールしていくチャンスだと思っています。
このように盛り上がってきた日本ワインですが、この盛り上がりを更に高め、持続的に発展していくためには、個々のワイナリーが努力をすることはもちろんですが、業界がまとまって各方面へ日本ワインをアピールしたり、機械や施設の共同利用で効率を高めたり、日本の気候風土にあった品種を海外から新たに導入したりするなど、各地域、そして、全国レベルでまとまって協力することの重要性がますます高まってきそうです。
直近では、2月12日(日)に長野県ワイン協会主催の「GI長野ワインフェス2023」がJR長野駅ビル直結のホテルメトロポリタン長野で開催されます。
また、2月25日(土)には、東御ワインクラブ主催の「東御ワインフェスタ」が、しなの鉄道 田中駅近くのラ・ヴェリテを会場に開催されます。
そのほか、ワイン業界では少し時間のある冬場に、行政や有志主催の勉強会も活発に開催されています。
このような日頃の地道な積み重ねで、一歩一歩前に進んでいくことが大事なのだなと、新年を迎えて、あらためて感じています。