春が近づいてきました

2025.03.17

今年の冬は、3月になってからまとまった雪が降りましたが、それまではほとんど雪が積もることがなく、剪定作業が順調に進みました。ちょうどピノ・ノワールの剪定作業が終わったところです。
      
ヴィラデストでは、今、約1ヘクタールの畑でピノ・ノワールを栽培しています。玉村が1992年に植えたのが始まりです。ピノ・ノワールは果皮が薄いため、収穫前に雨が降ると果粒が割れやすく、そこから病気が拡がることもあり、いったんは栽培を諦めていたのですが、2003年にワイナリーが開業し、そして、2004年に畑を拡大する際に、新たに植え付けをしました。ちょうどそのころに、当時おそらく日本ではほとんど手に入らなかった、オーストラリアの「MV6」というクローンを、ある苗木業者さんが海外から輸入して販売を開始した時期で、それをタイミング良く入手することができました。
ブドウの樹は種(たね)で増やすのではなく、剪定枝を接ぎ木して増やしていきます。理論的には、1本の樹の剪定枝から無限にその樹のコピー(クローン)ができますので、各地で選抜された優秀な性質をもった系統が、それぞれクローン番号をつけて管理されています。

その後も、その苗木業者さんがピノ・ノワールの新たなクローンを海外から導入するのにあわせて、ヴィラデストでも数種類のクローン(115、667、777、UCD5、Abelなど)を導入し、試していきました。なかでも、最初に植えた「MV6」は小ぶりの房で、色づきも良く、比較的割れにくい性質があり、ヴィラデストの気候条件にあっていたようです。その後は「MV6」を中心に増やしてきましたが、それぞれのクローンには糖度が上がりやすいとか、香りが出やすいとか、色づきが良いとか、様々な特徴がありますので、ひとつのクローンに絞るのではなく、いくつかのクローンが併存することがワインの味わいの複雑さにつながると考えて栽培しています。
ただ、「MV6」が割れにくいといっても、ピノ・ノワールは他の品種と比べると雨に弱いですから、収穫前に秋雨が続いたり、台風がきたりすると大きなダメージを受けます。現在はブドウの房の上にビニールをかける「雨よけ(グレープガード)」を導入することにより、雨によるダメージを大幅に減らすことができるようになりました。
ピノ・ノワールは雨が少なく、また冷涼な気候を好みます。最近は北海道のピノ・ノワールが注目を集めていますが、長野の標高の高い畑(ヴィラデストは標高850m)のピノ・ノワールは、より豊かな果実感や柔らかい味わいが特徴で、長野の気候風土を反映した魅力を充分に感じられるワインになると考えています。長野の赤ワインというと、メルローがまず思い浮かぶと思いますが、ピノ・ノワールもぜひ試してみていただければ幸いです。

1月から3月にかけては、各地の試飲イベントに出展したり、スタッフと一緒に他社ワイナリーを訪問したりなどしました。
冬の間にリフレッシュ、そして、新しい知見を得て、また新しいシーズンに向けてスタッフ一同、頑張っていきます。

 

ショップ、カフェは1月、2月と冬季休業していましたが、3月8日からオープンしました。2025年のシーズンもいよいよ始まります。今年もワイナリーでお会いできることを楽しみにしています!