ヴィラデスト初の貴腐ワイン ~誕生の裏話~

2020.04.25

本日、ヴィラデスト初の貴腐ワイン < KIFU-CHARDONNAY 2018 > がリリースとなりました。

2018年は春から暖かく、夏は記録的な猛暑で、ブドウの成熟が例年よりかなり早く進みました。例年だと、シャルドネは9月末から10月中旬にかけて収穫します。しかし、この年は9月の頭で既にブドウの糖度がかなり上がっていて、2週間後ぐらいには収穫しなければならないという状態になっていました。収穫の順番としては、シャルドネよりも早生のピノ・グリやゲヴュルツトラミネール、ソーヴィニョンブランといった品種の収穫を先に進めていたのですが、シャルドネの収穫までの間、9月はとても雨の日が多く、裂果や病気の発生リスクが高まっていました。
そのような中、シャルドネの一部に灰色カビ病(botrytis cinerea)の発生が見られました。このbotrytis cinereaの拡がりは非常に速く、ほんの数日の間に畑のいたるところにどんどん拡大していきました。これまでせっかく順調に熟してきただけに、暗澹たる気持ちで30分くらい畑を呆然と歩きまわっていました。しかし、よく考えてみれば、ブドウが熟した状態で、うまくbotrytis cinereaがつけば、いわゆる「貴腐ブドウ」になるわけで。そして、気持ちを切り替え、9月末に健全なシャルドネのみを収穫して <ヴィニュロンズリザーブ> 用とし、botrytis cinereaのついたブドウは樹に残したまま、11月まで放置することにしました。

そんなある日、世界的な醸造資材メーカーの社長や技術部門の責任者などがヴィラデストを訪れる機会がありました。そして、貴腐ブドウをみてもらったところ、「これはいい感じで貴腐ブドウになっている」と言われました。さらに、「この酵母を使え」、「プロトコールを送ってやる」と非常に親切(商売上手?)に助言をしてくれて、彼らの帰国後にもメールなどでやりとりをしながら、貴腐ワインづくりを進めることができました。私自身、初めての貴腐ワインづくりだったのですが、まっとうな貴腐ワインに仕上がったと自負しています。

11月までブドウを樹につけておくことで、半分干しブドウのようになり、糖度はもとの状態の約2倍、40度以上になります。また、botrytis cinerea以外の病気にかかっているブドウもありますから、いったん収穫したブドウを再度、ワイナリーでスタッフがほぼ一日かけて選別をしました。このようにしてつくられる貴腐ワインは、普通のワインと比べると、同じ量のワインをつくるのに3倍から4倍のブドウが必要になります。

ヴィラデストの < KIFU-CHARDONNAY 2018 > は、色合いは濃い黄色で、はちみつや白い花、ドライフルーツを思わせる香りが広がります。粘性のある極甘口ですが、同時に酸味もありますので、バランスの良い味わいです。デザートワインとして、よく冷やしてチビチビと飲むのもよいですし、ブルーチーズや甘いものとあわせても最高です。

今年は自宅で過ごすGWですが、大切な人への贈り物に、ご自宅での“プチぜいたく”に、ぜひご活用ください!

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