ヴェレゾンが始まりました!

2022.08.17

ピノ・ノワールのヴェレゾン(果実の色づき)が一部始まりました。
ヴェレゾンの前には房周りの葉を取り、房への日当たりや風通しを改善する除葉(じょよう)をおこないました。ただ、あまり強い日光が房にあたると日焼けを起こすこともありますし、房周りの葉は光合成にも重要な役割を果たしていますので、ヴィラデストでは、白ワイン用品種やピノ・ノワールは、垣根の片側だけ徐葉して日差しの強い西側や南側は葉を残し、メルローやカベルネは両側とも取る、という方法をとっています。いずれにせよ、“完全にすっきり”にするのではなく、“中庸に”除葉をすることを心掛けています。

今年は、梅雨は短かったのですが、梅雨が終わってから、連日のように激しい夕立になり、地域全体としては“べと病”の発生が多いようです。ヴィラデストでも被害は出ていますが、一部の畑に抑えられていますので、収穫までのあと一月半ほど好天が続き、健全に熟してよい収穫が迎えられることを期待したいです。
また、獣の食害にも対策が必要ですから、これから電気柵を設置したり、ネットを張ったりといった作業も予定しています。

近年では、異常気象、猛暑、ゲリラ豪雨、大型台風、などという言葉をよく聞くようになりました。地球温暖化がこのような気候変動を引き起こしていると言われますが、ワインづくりにおいては、地球温暖化により雨が増えて病気が増えたり、また、従来その地に適していた品種が、その地に合わなくなってきたりと、地球温暖化の負の影響を大きく受けます。
ブドウ栽培やワイン醸造においては、畑では光合成により、CO2(二酸化炭素)を糖分に固定しますが、発酵の過程や人間がワインを飲酒して代謝する際、また、剪定枝を焼却したりなどしている間に畑で吸収されたCO2は、ほぼ大気中に放出されると思われます。ほかにも、ブドウ栽培に使用する農機具の燃料、醸造機械を動かすための電力、ワインボトルなど容器の製造・運搬にかかわるエネルギー、ワインを熟成させる部屋の空調、完成したワインの輸送に関わるエネルギーなど、最終的には畑で固定する以上のCO2を排出することになります。

今、自動車産業では急速に電気化が進みつつありますが、いずれは農機具も電気化されるようになるでしょうし、畑などにスペースはたくさんありますから、太陽光等の自然エネルギーを使うなどして、ワインづくりでもカーボンニュートラルを目指したいものです。

同時に、将来を見据えて、地球温暖化に対応できる品種を探して、少しずつですが、試験的な栽培を今から始めています。現在、日本に導入されているワインブドウ品種は、世界的に見ればごく一部であり、可能性のある品種は世界中にたくさんありますので、JVA(日本ワインブドウ栽培協会)の仲間とも協力して、有望な品種を探索していきたいと思います。

まだまだ暑い日が続きますが、ヴィラデストではお盆を過ぎると秋の気配が漂ってきます。
収穫までの間に、畑仕事以外にも昨年仕込んだ赤ワインの澱引きやビン詰めなどを行いますが、いよいよ収穫、仕込みにむけて、ワイナリーは準備モードに入ってきました!